一般皮膚科について
皮膚は外界と身体を隔てる重要な臓器であり、常に外界に接しているため、紫外線やホコリ、洗浄剤や化粧品等、さまざまな影響を受けます。また、身体の中からの不調が皮膚表面に現れることもあります。それらの原因をさがし治療するとともに、普段のスキンケアでお肌を健康な状態に保てるよう、サポートいたします。お気軽にご相談ください。
また、当院ではウシオ社の紫外線治療器(エキシマライト:セラビームスリムUV308)を採用しております。乾癬、円形脱毛症、白斑、掌蹠膿疱症、アトピーや手湿疹といった湿疹等、さまざまな疾患に高い効果を発揮します。
主な疾患
- 虫刺され
- やけど
- アレルギー
- 粉瘤
- (小児)アトピー性皮膚炎
- 帯状疱疹
- ヘルペス
- ホクロ
- 多汗症
- 巻き爪
- とびひ
- 脱毛症
- 接触皮膚炎(かぶれ)
- 脂漏性湿疹
- ひょうそ
- イボ
- 水いぼ
- あせも
- じんましん
- 乾燥肌
- ニキビ
- 湿疹・乳児湿疹
- おでき
- 毛包炎 など
虫刺され
原因となる虫には、蚊やブヨ、アブ、ダニ、ハチ、毛虫、ムカデなどさまざまなものがいますが、虫が咬んで、唾液を注入したり、血を吸ったりすることによって、かゆみ、腫れ、痛みなどの症状が引き起こされます。かゆみは、皮膚に注入された物質によるアレルギー反応によるもの、痛みは、咬まれた際の物理的な痛みと、注入された物質による化学的な刺激によるものとがあります。接触することで皮膚炎を引き起こすこともあります(ケムシ皮膚炎など)。症状が軽い場合は市販のかゆみ止めでも問題ありませんが、かゆみや腫れがひどい場合は、ステロイド薬(塗り薬)や抗ヒスタミン薬などを用いた治療が有効ですので、受診をおすすめします。特に小さなお子様は虫刺されの炎症が強く出たり、かゆみが強いなどして、かきこわしてしまいとびひの原因となることもあります。虫除け剤などをうまく利用して刺されない工夫をすることも大切です。
やけど
熱によって起こる皮膚、粘膜の障害のことで医学的には「熱傷」とよばれます。痛み、水疱(水ぶくれ)、腫れ、皮膚の剥離(皮むけ、ただれ)が起こります。やけどは早期の強い炎症を抑える処置がとても大切です。やけどをしてしまったら、すぐに流水で5分を目安に冷やしてください。重症度は、範囲とどれぐらいの深さまでダメージが及んだかによって変わり、それによって治る時間や残る傷跡も変わってきます。特に、痛みが強い、水ぶくれができてしまった、範囲が大きい場合などには早期に適切な治療を受けることが大切です。
アレルギー
人間にはウイルスや細菌など異物を攻撃しようとする免疫機能が備わっていますが、通常は害のないもの(異物ではないもの)を有害物質と認識し、過剰に反応し様々な症状を引き起こしてしまうことをアレルギーといいます。アレルゲン(抗原)は、動植物や食品、化粧品、金属、化学薬品など様々で特定できないこともありますが、気になる症状がある場合にはアレルギー検査(血液検査)やパッチテストを受けることもできます。肌がカサカサ乾燥しやすい、湿疹がでやすい、少しの刺激で肌が赤くなりやすい、といった肌に起こる症状もアレルギー反応の可能性があります。どうぞご相談ください。
粉瘤(できものの一種)
粉瘤(ふんりゅう)はアテロームともよばれる袋状の良性腫瘍で、皮膚の下にできる、しこりのようなふくらんだ状態のできものです。原因は明らかにはなっていませんが、こすれや傷などの刺激、ウイルス感染などによって発生しやすくなるとも言われています。
本来は毛穴から排出される皮脂や老廃物が袋状の中にたまってしまうものですが、放置すると大きくなったり、細菌感染などで炎症を起こしたり、痛みを伴うこともあり、自然に治癒するものではないため早めの処置をおすすめします。ニキビやおでき、脂肪腫など他の疾患と見分けがつきにくいため、気になるできものができた場合はご相談くさい。
アトピー性皮膚炎
かゆみを伴う湿疹がでて、長期間治らずに繰り返してしまうことが特徴です。
アトピー性皮膚炎のガイドラインでの診断基準としては、乳児は2か月以上、それ以上では6か月以上、好発部位といわれる部位に湿疹を繰り返すと、アトピー性皮膚炎を考えます。
顔、首、ひじの内側、ひざの裏、手足の関節、体幹に、左右対称に症状が出ることが多く、これを好発部位と呼びます。患者さんの多くは気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、花粉症での既往歴(ご家族も含め)があります(これをアトピー素因といいます)。アトピー性皮膚炎の方の肌はもともと、バリア機能が弱いのですが、患部をかくことで皮膚のバリア機能がさらに低下してしまい症状が悪化したり、食べ物やハウスダスト、汗、ストレスなども悪化の要因となってしまいます。
治療はステロイド外用剤で炎症をおさえることに加え、普段のスキンケア(清潔にすること、保湿すること)も欠かせません。また症状に応じて炎症やかゆみをおさえる紫外線療法、内服薬や注射が有効な場合もあります。
日常生活に支障が出てしまう状況も多くみられ、悩みやストレスの元にもなってしまう疾患ではありますが、根気強く向き合うことで健やかな肌、肌の状態に悩まされない生活を取り戻すことはできます。
当院では、外用剤だけではなかなか治らないアトピー性皮膚炎の患者さんに対して、紫外線療法や、生物学的製剤による注射や内服の治療も行っております。それぞれのお肌の状態や生活環境なども考慮し、患者さんに合った適切な治療計画を一緒に立てていきたいと考えておりますので、アトピー性皮膚炎にお悩みの方は、一度ぜひ御受診ください。
帯状疱疹
身体の左右どちらかの皮膚に痛み、赤い斑点、水ぶくれが帯状に現れるという特徴があります。初期症状ではズキズキ、ピリピリとした痛みのほか、かゆみや違和感といった程度ですが、その後、皮膚症状が進むと夜も寝られない程の痛みに発展する場合もあります。発症した場合は抗ウイルス剤、鎮痛剤での治療が主です。
原因は水痘・帯状疱疹ウイルスです。子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが体内の神経節に潜伏していて、その後加齢、ストレス、疲れなどが原因で免疫機能が弱まった際に、再び活性化、神経を伝わって皮膚に到達することでこれらの症状が起こります。
日本の成人の9割は体内にこのウイルスを持っていると考えられており、ウイルスを持っている方は誰でも帯状疱疹にかかる可能性があります。また、50歳以上になると発症率は高くなり、80歳までに3人に1人が帯状疱疹になるといわれています。
予防としてワクチン接種も有効で、50歳以上の方は多くの自治体で費用助成がされています。当院では港区在住の方が助成対象となっています。お住まいの地域での助成制度については各自治体にご確認ください。
ヘルペス(単純ヘルペスウイルス感染症)
単純ヘルペスウイルスによる感染症で、皮膚、口、唇、眼、性器など身体のどこにでも感染するものです。ピリピリとした痛みや違和感が起こった後、小さな水疱やびらん(ただれ)ができます。初めての感染時には免疫を持っていないことから高熱や倦怠感などの全身症状があらわれることもあります。いったん単純ルペスウイルスに感染すると、ウイルスは体内の神経節に潜伏しますので、その後抵抗力が低下した時にウイルスが再活性化し、再発します。感染力が非常に強く、接触感染、飛沫感染(くしゃみ、せき、会話の際の飛沫)の可能性があります。
治療は抗ヘルペス薬(外用薬)や抗生物質(内服薬)が主に使用されますが、近年米国のFDAで、抗ウイルス薬外用薬の使用に対し、耐性ウイルスの出現を増加させるおそれがあるとして警告が発されており、外用剤はほとんど使われない傾向にあります。
抗ウイルス薬はウイルスを殺すお薬ではなく、ウイルスの増殖を阻止するお薬なので、ウイルスの増殖が少ない時期(ピリピリとした感じや不快感が現れ、まだ水疱が現れない時期)に治療を始めるのが効果的です。
ホクロ
皮膚にはメラニン色素をつくる細胞(メラノサイト)があり、その細胞や母斑細胞と呼ばれる細胞が増えてできたものがホクロです。多くの場合が良性で治療は必要ありませんが、気になる場合は当院での切除なども可能です。診察ではダーモスコピー(拡大鏡)検査で皮膚病変の表面を観察、メラノーマ(悪性黒色腫)と色素性良性疾患(ほくろ、しみ、血まめなど)を識別します。疑わしい場合は病理検査を行います。メラノーマはメラノサイトが腫瘍化して増殖する皮膚のがんで、左右対称ではない、輪郭がぼやけている、6mm以上ある、急に大きくなる、出血、かゆみ、痛みがあるといった症状もあります。
気になる場合は一度ダーモスコピーを使用した診察をお勧めします。
また、良性の小さいほくろに対しては、当院では炭酸ガスレーザーでの治療(自費治療)も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
ワキ汗、手汗(多汗症)
汗には体温調節、また老廃物を体の外に排出する、という大事な役割がありますが、はっきりとした原因がないのに日常生活に支障がでるほどにたくさんの汗をかいてしまう症状を多汗症といいます。特に多く汗をかく部位によって「ワキ汗」や「手汗」と呼ぶこともあります。多汗症と診断するのにはチェック項目がいくつかありますので気になる方は検索してチェックしてみてもよいかもしれません。治療方法は、保険適応の外用薬(塗り薬)やボトックス注射(ワキボトックスは当院では自費診療になります)があります。汗の臭いの改善にもある程度有効です。どうぞご相談ください。
巻き爪
巻き爪(まきづめ)は、爪の縁が内側に巻き込むことで皮膚に食い込み、痛みや腫れ、炎症をおこすもので、感染症から膿がたまることもあります。爪を短く切りすぎたり、丸く斜めに切りすぎてしまうこと、タイトな靴、靴下やストッキングで爪に圧力がかかること、外傷、肥満などが原因となります。
爪の切り方の改善、圧力をかけない靴選び、足を清潔に保つケアなどのセルフケアで改善する場合もありますが、重度の場合、爪の一部または全部を除去する手術が行われることもあります。当院では、特殊な金属で作られた矯正具を装着し徐々に爪の形を矯正していく治療法も採用しています。(自費治療となります)爪の形状や状態に合わせてご提案いたします。なかなか治らない、化膿しているといった場合には皮膚科での受診をおすすめします。
とびひ
とびひは、伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)と呼ばれる皮膚の細菌感染症で、特に湿度・気温の高い夏の時期、子どもに多く見られます。大人でもアトピー性皮膚炎などのバリア機能が低下した肌では生じやすいです。原因菌は黄色ブドウ球菌と溶連菌で、これらの細菌が皮膚の傷口や虫刺され、すり傷などから感染します。
小さな赤いぶつぶつ、水ぶくれ(水疱)が現れたのち、それが破れて膿がたまり黄色いかさぶたになります。かゆみや赤い斑点も特徴です。顔、手、腕、脚などに広がることが多く、接触によって他の部位や他の人に感染する可能性があります。
治療として抗菌薬(塗り薬)、抗生物質(飲み薬)を処方しますが、感染部位を清潔に保つ、手を頻繁に洗う、衣類やタオルの共有を避けるといったことで感染の拡大を防ぐ工夫も大切です。
症状が見られた場合は、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。受診の際は、受付にお声がけください。
脱毛症
円形脱毛症は、毛を作る毛包周囲に炎症が起き、毛が抜けてしまう疾患です。頭髪だけでなく眉毛、まつげ、体毛など全身の毛に起こるケースもあります。
頭皮の一部に単発もしくは複数個の脱毛班ができる場合を『単発型/多発型円形脱毛症』、頭皮全体の毛が抜けてしまう場合を『全頭型円形脱毛症』、頭皮だけでなく眉毛やまつげや体毛も抜けてしまう場合を『汎発(ばんぱつ)型円形脱毛症』と分類します。
原因としては、遺伝的要因、ホルモンの変化、自己免疫疾患、ストレスや栄養不足、他の病気や薬の影響、ヘアケア習慣の影響など様々なことが考えられますが、近年は、毛に対しての自己免疫異常という説が有力です。アトピー素因、甲状腺の病気や膠原病との関連もいわれています。問診、視診、血液検査等を実施して、治療法を選択します。当院では飲み薬のほか、エキシマレーザー(紫外線の一種であるUVB波長を利用したレーザー)を照射する治療を行っています。
湿疹
湿疹は、発疹、赤み、かゆみ、腫れ、乾燥などの症状を引き起こす皮膚疾患の総称です。
- アトピー性皮膚炎
- 接触皮膚炎
- 脂漏性湿疹
- 乾燥性湿疹(皮脂欠乏性湿疹)
などがあり、原因に応じて外用薬(ステロイド、保湿剤)、抗アレルギー薬を使用することもあります。またスキンケア、生活習慣の改善も大切になりますので、普段の生活の中で気を付けていただきたいことも診察でお伝えできたらと思います。
ひょうそ
ひょうそは、爪周囲炎の一種で、爪の周囲に細菌感染が生じる疾患です。黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が原因となって、指や爪周りに赤み、腫れ、痛みが現れます。進行すると、膿がたまってしまうこともあります。主な治療法は抗生剤の内服や膿の排出をする処置で、重症の場合は外科的な切開・排膿が必要となることもあります。予防するためには爪周りの清潔を保つことが大切です。
ウイルス性いぼ
ウイルス性いぼ(疣贅、ゆうぜい)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって皮膚や粘膜にできる良性の腫瘍です。主に手足に見られる「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」、顔や首にできやすい「扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)」、足の裏にできる「足底疣贅(そくていゆうぜい)」などがあります。ウイルス性いぼは、ザラザラした表面で、硬さがあり、痛みを伴うこともあります。
治療法としては、液体窒素による凍結療法、サリチル酸を用いた局所治療、レーザー治療などがあります。
一度で完治するのは難しく、根気よく継続して治療していただくことが必要です。
水いぼ
水いぼ(伝染性軟属腫)は、ウイルスによる皮膚の感染症で、特に子どもによく見られます。皮膚に直径2〜5mmほどの光沢のある小さなイボができます。体、腕、脚、顔などにできやすく、中央に小さな窪みがあるのが特徴です。触れたり、タオルや衣類、プールでのビート板の共有などで感染が広がります。乾燥や湿疹や傷があるとそこから感染してしまうため、お肌を健全に保つことも予防になります。水いぼは、数ヶ月から数年で自然に治りますが、その間に増えてきてしまったり、プールに入れなかったりするので、必要に応じてイボを取り除く治療も可能です。当院では水いぼせっし(水いぼを摘除する専用のピンセット)での治療だけでなく、液体窒素で水イボの組織を凍結・破壊する治療も行っています。また、自費診療にはなりますが、塗り薬(Agクリーム)での治療も行っています。
あせも
あせも(汗疹:かんしん)は、主に高温多湿な環境や過剰な汗によって発生し、皮膚に小さな赤い発疹や赤いぶつぶつが現れます。発疹はかゆみやヒリヒリ感を伴うことがあり、特に首、背中、脇の下、腹部など汗をかきやすい部位に見られます。汗腺の閉塞(汗がでる通り道が詰まる)による炎症が原因であり、発汗を減らしたり、汗をかいたらシャワーを浴びる、濡れタオルで優しく拭くことなどによって予防や改善が期待できます。治療には、抗ヒスタミン薬、ステロイド外用薬などを使用します。また、乾燥肌はあせもを悪化させる原因になるため、適切な保湿も必要です。
じんましん
じんましんは、身体のさまざまな部位が、かゆみを伴って赤くなったり膨らみ(膨疹)ができたりするアレルギー反応の一種です。強いかゆみを伴い、数時間から数日反応が続くこともありますが、湿疹と違って肌に現れた症状はあともなく消えてしまうのが特徴です。原因は食物、感染症、物理的刺激、ストレスや疲労、薬物など様々なものが考えられるため、普段の生活についてお聞きしたり、アレルギー検査(血液検査)などを行い治療します。原因が分かれば、それを取り除いたり、避けたりすることが必要です。また抗ヒスタミン薬を使用し症状を抑えます。しかし原因が特にない『特発性じんましん』である場合もとても多く、じんましん全体の約7割を占めます。
また慢性じんましんの場合には6週間以上症状が続き、詳しい診断と継続的な治療が必要となることがあります。
乾燥肌
乾燥肌(かんそうはだ)は、皮膚の角質層の水分が不足し、乾燥してカサつきやすくなる状態です。皮脂分泌の低下、寒冷や乾燥した空気など外部の環境、過剰な洗浄、加齢などが原因です。 症状としては、皮膚のかゆみ、ひび割れ、鱗屑(りんせつ)、赤みが見られることがあります。 乾燥肌を改善するためには、保湿剤を使用して皮膚の水分を補うことが大切です。皮膚を優しく洗い、刺激の少ない製品を使用することも効果的です。体質だと諦めなくても大丈夫です。適切なスキンケアと生活環境の調整を継続していけば改善できる症状です。
にきび
毛穴の出口の角化異常により、毛穴が詰まってしまい、そこに過剰に分泌された皮脂やアクネ菌という細菌が増え炎症が起こったもので、正式には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」といいます。毛穴の詰まりは最初、マイクロコメドという目に見えない極小さい詰まりの状態から始まり、悪化すると、白ニキビや黒ニキビといわれるような目に見えるぶつぶつになります。このように炎症が起こっていなくても毛穴がつまっていて、アクネ菌が増え始めている状態のものをコメド(面皰)といいます。コメドを放置するとやがて炎症が起こり、赤くなったり、化膿したりした、いわゆる赤にきびの状態になっていきます。
ニキビはこうした様々な状態のものが混在していることが多く、現在の状態に合わせた治療をしていくことが必要です。ニキビはとても身近なできもので、できて仕方ないという印象もありますが、れっきとした皮膚疾患で、治療と日頃のケアで対処できるものです。早期に治療とケアに取り組むことがニキビ痕のないきれいなお肌にもつながります。どうぞお早めにご相談ください。